風が少し冷たくなり、ニットの温もりが心地よく感じられる季節。
そんな秋本番の午後、少しだけ足を延ばして川沿いのカフェへ。
今回のSTYLE STORIESは、イタリアの TELA GENOVA(テラジェノバ) のフィールドジャケットとカーゴパンツを主役にした、大人のミリタリースタイルです。
TELA GENOVA — 歴史を、現代の日常着へ
TELA GENOVAは、1982年に誕生したイタリアのメンズウェアブランド。
その背景にあるのは、単なるヴィンテージへの憧れではありません。
ブランド名の「Tela Genova」は、かつてジェノヴァで生産・流通していた丈夫な布地の歴史に由来します。ブランド公式サイトでは、その歴史を16世紀まで遡って紹介し、現在の「jeans」へとつながるジェノヴァの織物文化をブランドの重要なルーツとして位置付けています。
現在ブランドを率いるCristiano Caucciの家族も、長く生地と服づくりに携わってきました。1976年には父Ugo Caucciが最初の衣料ブランドを立ち上げ、2010年にTela Genovaを取得。伝統的な加工技術と現代的なものづくりを組み合わせながら、ブランドを再構築しています。
Tela Genovaが得意とするのは、デニムだけではありません。
Military、Workwear、Navy。
実用服が持っていた機能美をデザインソースに、素材、縫製、加工、シルエットを現代の男性が着られる服へと置き換えていく。公式にも、この3つのスタイルとの強い結びつきと、素材選びや伝統的な技術を重視する姿勢が掲げられています。
そこにあるのは、古い服をそのまま再現するというより、**「過去にあった良いものを、今の生活の中でもう一度着る」**という感覚です。
深いグリーンを、ベージュで柔らかく
今回選んだのは、TELA GENOVAのPOLDO/F フィールドジャケット。
深みのあるVERDE MELANGEのボディに、細かなヘリンボーンの織り。フロントにはミリタリーウェアを思わせる大きなフラップポケットが配置されています。
一方、裏側にはキルティングライニング。
無骨なフィールドジャケットのディテールを持ちながら、イタリアの服らしい素材感とバランスによって、街で着ても過度に武骨にならない一着です。
インナーにはベージュのローゲージニット。
ジャケットとパンツをグリーン系でつなぎながら、中央に柔らかなベージュを入れることで、全体の印象を少し軽くしています。
セットアップではなく、「同じ空気感」で合わせる
パンツもTELA GENOVAのカーゴパンツ。
ジャケットと全く同じ生地・色で揃えるのではなく、少しトーンの異なるオリーブを合わせるのが今回のポイントです。
ミリタリーという共通する背景を持つアイテム同士なので、色に多少の違いがあっても自然につながります。
むしろ上下を完全に揃えないことで、ユニフォーム的になりすぎず、普段のスタイリングとして取り入れやすくなります。
足元はブラウンのレースアップブーツ。
そして最後にニットキャップ。
ジャケット、カーゴパンツ、ブーツという男らしいアイテムを重ねながら、ニットの柔らかな質感を挟むことで、大人が無理なく楽しめる秋のアメカジへ。
風のある午後に、ちょうどいい服
川沿いを歩き、少し冷たい風を感じたらカフェに入ってコーヒーを一杯。
そんな特別でもなんでもない休日にこそ、こういう服はよく似合います。
TELA GENOVAが大切にするのは、アーカイブや歴史を眺めるだけではなく、それを現代の生活へ戻していくこと。
ブランド自身も、アーカイブ研究を起点にヴィンテージの名品を現代的に再解釈する「Contemporary Heritage」という考え方を語っています。
新品なのに、どこか昔から着ていたような服。
そして、着るほどに自分のものになっていく服。
秋が深まるこれからの季節。
少し風のある日に、このジャケットを羽織って出かけたくなる。
そんな一着です。